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F1ワッチ (F1watch)

Watching the Formula One from an Armchair

オンラインF1中継ストリーミング計画の夢と幻、革命のXデーは何事もなく過ぎ去った件について(Re: @portf1)

2015年末にF1中継をめぐる全てが変わるという予言があった。個人向けのオンライン中継配信のスタートだ。

햄프리 (BBC F1 진행자..

F1中継のしくみが変わるのなら2015年末だろうと言われていた。F1放映権の全世界63契約のうち、なんと56契約が、2015年末でいっせいに期限切れになるからだった。しかし、2016年になっても、しくみは変わらなかった。ファンの命運はテレビ局に左右されている。きっと2017年になっても変わらないだろう。なぜなら……

F1の株式が公開されていないからだ。

F1の収益は世界各地のテレビ局が支払う放映権料によって支えられている。F1の収益は、バーニーに懐に入っているだけではない。各チームに分配される賞金となり、チームを潤している(特にトップチームを)。もしも世界的なオンライン配信サービスが始まって、放映権料の収入がなくなるとは言わないが、大きく減少するようなことになれば、F1というスポーツは成り立たなくなるだろう。

テレビの放映権料収入はF1全体の収益の1/3を占めており、500億円にも達するとみられている((F1:経済危機とは無縁の金満ビジネス « WIRED.jp)。

要するに、この500億円の「穴埋め」の見込みがつかなければ、F1は放映権料を手放せない。つまり、これまでどおり世界各地のテレビ局に高額で放映権を小売りするビジネスから逃れることはできないのだと考えられる。

このヒントは、そもそも「オンライン配信サービス」というアイディアがどこで生まれたのかを振り返ることにある。

そもそもF1のストリーミング放送計画が明らかにされたのは2011年のことで、そのきっかけはF1株式の上場計画の中だった。

2011年のAutoweekの記事によれば、498ページに及ぶ設立趣意書の奥深くに、その新放送計画は隠されていたという。

On page 144 it states that “we are in the initial stages of developing our digital media assets. The right to stream races online is typically licensed out to our broadcast partners around the world but we may consider changing our model and exploiting them independently in the future. As the exclusive rights holder to the World Championship, we have the benefit of controlling both our online platform and content which gives us a wide range of opportunities to monetise our rights, including through internal and third party solutions.” F1 considers live online streaming of races | Autoweek

つまりオンラインストリーミング配信計画は、世界的な情報化と視聴者のテレビ離れを見越したF1の成長計画の一部であり、収益構造を抜本的に改革するという未来像に基づいていたのである。しかし今のところは「将来的な株主にF1は美味しそうだと思わせるためだけの絵に描いた餅」でしかない。

バーニーがF1の株式を上場する計画を明らかにしたのは2011年のことで、2012年には非常に現実味を帯びたという報道が多数なされた(CVC:フォーミュラワンIPOも、ゴールドマン起用-関係者 - Bloomberg)。この計画は延期され、2014年にも再び延期された(F1上場計画に再び遅れ | ESPN F1)。そして、残念ながら2015年末には実現しなかったし、2016年開幕現在でも「暗礁に乗り上げている」(F1 in need of fast answers to keep rest of the world interested | The Sunday Times)。

そのような近年の動向と平行して、2013年には英国のZume社がパイオニア的に「Formula 1 on Zume」をごく短期間だけ実施したが(【レビュー】ネットでF1を視聴できる「Formula 1 on Zume」サービスを2013年のわずか半年間だけ実施して終了してしまった (F1のネット配信「Zume」が2013年シーズン限りで終了 - AV Watch)。その後継サービスはまったくアナウンスされていない。まるで株式公開後を見越した新中継システムの壮大な実験だったかのようだ。

この2つの動きは無関係ではない――と、F1ワッチは《邪推》している。

そして我々は未だにテレビ局に命綱を握られたままである。BBCは契約途中でF1放映権を手放し、将来支払うであろう200億円以上を取り戻したと言われている(2016年のF1テレビ放送が決着も…高騰する放映権は頭痛の種? - スポーツナビ)。また、フジテレビが支払うF1放映権料は年間30億円と噂されていたが、これまでのようなF1側との直接契約ではなく、あくまでもFOXアジアを元締めとして、そこから小売りされてきた(孫請けの)放映権がいくらになったのかは不明であるが、再放送権まで制限されるなど、先行きが明るいとは思えない(【まとめ】F1放送の視聴方法2016-TopNews F1)。

オンライン配信はテレビの放映権料収入と共食いになる可能性があるので、このままF1が現在の収益構造を維持するのであれば、実現は不可能ではないか。

F1はテレビ局からお金を吸い取らないわけにはいかない。残念ながら現在のF1はバーニー・エクレストンが築き上げた収益構造から脱却できていない。この収益構造はバーニーが30年かけて築き上げた帝国である。帝国を支えるのは各地の植民地(テレビ局・サーキット・スポンサー)だ。帝国の臣民であるファンは、帝国から恩恵を受けとるだけの存在に過ぎない。この構造を変えるには、ファンから直接お金を集めるような「共和国」にF1が生まれ変わる必要がある。

確かに、予言されたように、2015年末は帝政を一新するいいチャンスだったかもしれない。しかしF1帝国が選んだのは、さらなる植民地への圧制だった(FOXアジアへのホールセール)、というわけか。

この数年、TATAは確かにいい仕事をしてきたが、それは世界各地のテレビ局に対するデジタル映像配信環境の開発と改良だ。残念ながら個人向けのストリーミングではない。もし本当に、TATAコミュニケーションズが技術を提供して、F1からhuluやNetflixのような、個人向けのオンライン配信サービスが始まるとすれば、それは放映権料に頼らずに経営ができるようになったときだろう。それはF1が株式を公開したときだろうか? その未来は遠いように思うのだが。

★注意★ もちろんこの「邪推」は1人のアマチュアが公開情報を組み合わせて90分ほどで推測しただけのものであり、事実ではない。そしてもちろん、この予想は外れていることを願っている。さて、こんな邪推を蹴散らすようにして、明日にでもオンライン配信サービスが始まればいいのだが……。

この記事は、

へのリプラィです。Cheers!

(CC) Photo: 햄프리 (BBC F1 진행자.. | Flickr - Photo Sharing!

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