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F1ワッチ (F1watch)

Watching the Formula One from an Armchair

マノーに解雇されてからマノーに雇われたスティーブンス

マノー ウィル・スティーブンス WEC

マノーに愛された男、その名はウィル・スティーブンス。

Manor x Manor (#28 Will Stevens)

ウィル・スティーブンスがマノー・マルシャのシートを2015年限りで喪失したことはやや旧聞に属するが、最新のニュースによれば、この英国人の青年は、2016年はマノー・モータースポーツのシートを得て、引き続きレースに出場するという。

マノーからマノーへ……『WTF1』が冗談めかして確認しているが(Will Stevens Hired By Manor After Being Fired By Manor - WTF1)、この移籍劇はもちろん書き間違えではない。むしろマノーからマノーへという数奇な運命(?)を辿ったスティーブンスの運命の裏側を推測すると、マノー内部の権力関係が絡んでいるように見えて興味深い。

スティーブンスのシート喪失が明らかになった後のことだが、マノー・マルシャが、2016年からは「マノー・レーシング」として再出発することになった(マクラーレン・ホンダのライバルとなるか 新生マノー (TopNews) - Yahoo!ニュース)。この改名の背景には、2015年内は旧マルシャというチームが持っていた既得権益を新チームも継続して得るために、旧名を冠して使ってこなければならなかったという舞台裏もある。晴れてマルシャという名前を捨てることができたのは、新チームが1年間を通じてF1で生き延びることができた証明であろう。

さらにマノー・レーシングは、チーム内部の上層部が総入れ替えとなって、名前だけではなく体制も新チームとなるようだ。

新生マノーを率いると伝えられているのは、2009年、マクラーレンの「ライ・ゲート」の責任者として解雇されたデイヴ・ライアンだ(マクラーレン、デイヴ・ライアンを解雇 : F1通信)。問題をおこしたF1関係者では、既に2009年にルノーの「クラッシュ・ゲート」の責任の一端を問われたパット・シモンズがパドックに復帰しており(現在はウィリアムズ)、ライアンも同様にF1村の内部での「禊(みそぎ)」は済んだということだろうか。

スティーブンスのシート喪失と、このマノーF1の内部の人事異動の関係は定かではないが、少なくともスティーブンスにとっては「捨てる神あれば、拾う神あり」となった。というのも、2016年にスティーブンスを雇ったのは、このライアンの就任で、F1のマノーをやめた二人の幹部(チーム代表のジョン・ブースと競技ディレクタのグレアム・ロードン)が、新たに世界耐久選手権(WEC)に参戦すべく設立した「マノー・モータースポーツ」チームだったからだ。

この二つのマノー(F1のマノー・レーシングと、WECのマノー・モータースポーツ)の関係は、現時点では定かではない。単なるネーミング・ライセンスの問題を抱えた「偶然同じブランドを有する別チーム」なのか、それとも同一体制下における二つの部門なのか?

スティーブンスに目をかけたジョン・ブースは、

チームにウィルが加わったことは素晴らしいよ。我々は彼の才能やスピードをF1で一緒に働いて知っている。(F1シート喪失のウィル・スティーブス、マノー・モータースポーツからWEC参戦 (オートスポーツweb) - Yahoo!ニュース

と、「才能」と「スピード」がスティーブンス選定の理由だとコメントしているが、「資金」とは言わないんだね。

なんにせよ英国人スティーブンスは、来年もサーキットをトップ・カテゴリーで走れるようだ。少なくともシートに残り続ける「しぶとさ」はプロのレーサーとしての美徳であることは間違いない。

(CC) 写真 Manor x Manor (#28 Will Stevens) | Flickr - Photo Sharing!