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F1ワッチ (F1watch)

Watching the Formula One from an Armchair

どうすればマノーは2015シーズンに参戦することができるのか

一度は参戦を諦めたと思われたチームが甦ろうとしている。マルシャである。マルシャは「マノー(Manor)」と名を戻し、昨日には2015年のエントリー料を支払ったというニュースが報じられたのである(マノー、2015年のエントリー料を支払う | ESPN F1)。

Marussia F1 car nose

しかし、マノーは本当にまもなく始まる2015年シーズンに参加することができるのだろうか。その道のりは閉ざされてはいないが、険しいことは間違いがない。ジョー・サワードの記事(How Manor can survive | joeblogsf1)を手がかりにしながら、いくつかの僕たちの素朴な疑問に答えるかたちで、マノー復活の可能性を探ってみよう。

なぜマノーはまだ「生きて」いられるのか?

既にマルシャの「店じまい」は完了したとみられていた。

2014年末に報じられたように、チームの機材は既にオークションで放出されたし(マルシャの備品がオークションへ | ESPN F1)、2015年1月にはマルシャ・チームの拠点であるファクトリーは、2016年シーズンからF1参戦を予定しているハースによって買い取られたと報じられた(ハースF1、マルシャの施設買収もチーム救済はせず - オートスポーツweb)。

これらの事実が覆された形跡はない。現在でもマノー(マルシャ)はオークションで機材を失ったままだし、ハースによってファクトリーを買収されたままであるようだ。

サワードによると、チームはオークションによってマシンやコンピューターを既に失っているが、2014年マシンのマイナーチェンジ版であると考えられる2015年用マシンの設計データは未だに所持しているのだろうと推測している。また、イングランドのバンバリー(Bunbury)にあったファクトリーを失った件については、マノーがドニントンの施設をこれまでと同様に継続して利用できていることから、第三者が想像するほどの大打撃ではなかったのではないかと考えられている(How Manor can survive | joeblogsf1)。

つまり、レースチームの心臓部はまだ機能しているというのである。

2016年用のマシンを製造できるのか?

2015年2月に報じられたように、マルシャは2014年型のマシンで2015年シーズンを戦う意向を示したが、フォースインディアが拒否権を発動したため、実現しない見込みである(フォースインディア マルシア参戦拒否を説明 - GPUpdate)。

フォースインディア側は、GPUpdateが伝えているように、たまたま最初に反対を表明したのが自分たちだっただけであり、決して他の全チームが賛成していたわけではない——つまり自分たちが貧乏くじをひいた——という説明をしているが、なんにせよ、旧マシンの使用という例外措置には「全チームの同意」が大前提である以上、マノーは新型マシンを製造せねばならない。

しかし、既に忘れかけていたことだが、2014年11月の段階で、マルシャの2015年型マシンは既に「MNR1」という名前で、そのデザインが写真つきでリークされている(2015 Marussia F1 design revealed | Racecar Engineering)。

そのような新マシンの製造について、サワードは「簡単ではないが、不可能ではない」という見方を示している。

The Ferrari-powered MNR1 has to go through all the manufacturing and crash-testing phases and that is not going to be easy in the time available, even if there is money in place. (How Manor can survive | joeblogsf1

鍵となるのは資金である。しかし、仮に適切な資金が用意されたとしても、事は簡単には運ばないだろうとサワードは付け加えている。マノーの前には、マルシャの負債を1円でも回収しようとするサプライヤーが列をつくっている。借金の支払いはもちろん、新たなサプライヤーに依頼するにせよ「先払い」が求められることは間違いない。

しかし資金の問題さえ解決できれば、マノーが人材を登用し、マシン製造にかかり、クラッシュテストを通過させることは不可能ではない、とサワードは考えているようだ。

なぜハースはマノーを丸ごと買収して利用しないのか?

2016年からF1参戦するハースは、マノー(マルシャ)のファクトリーだけを買い取り、チーム自体は買収しなかった。なぜハースはマノーを救済するかたちで全て買収し、ファクトリーだけではなくマシンや人材まで確保しなかったのだろうか。

これはサワードの記事のコメント欄で読者から指摘された点だが、サワードは簡潔に「負債」とだけ答えている。

Debts (How Manor can survive | joeblogsf1

つまり、ハースが、ゼロからF1チームを立ち上げようとする労力・資金と、マノーが抱えている負債を天秤にかけたところ、明らかにゼロから立ち上げるほうが「安上がり」であるほど、マノーは巨額の負債を抱えているというのである。

確かに、既に当F1ワッチが「消滅したマルシャチームの財政と借金が明らかにされ始めた - F1ワッチ (F1watch)」で触れたように、ドライバーからサプライヤーまで全方位的に借金があることは間違いない。

従って、既に報じられているように、ハースによる援助はまったく期待できないとみていいだろう(ハースF1、マルシャの施設買収もチーム救済はせず - オートスポーツweb)。

マノーに残された時間はどれぐらいあるのか?

マノーが参戦できるかどうか、真のデッドラインは4月12日の第3戦 中国GP(上海)である、とサワードは同記事のなかで指摘している。これはマノー側の都合ではなく、必然的にそうなるのだという。

しかし、なぜ中国GPなのだろうか。

バーニー・エクレストンと各チームのあいだで交わされたコンコルド協定によると、どのチームも1シーズンのうち3レースは、いかなるペナルティ(この場合、分配金/賞金のことだろう)を受けることなく欠場することができると定められている。これは2014年シーズン末の数戦をケータハムとマルシャが欠場した際に指摘された通りである(Marussia enters administration, confirms US GP absence | MotorSportsTalk)。

であれば、マノーの参戦デッドラインは 第4戦 バーレーンGP になりそうなものだ。

中国がデッドラインになる原因は、F1マシンの輸送である。この日程とルートは、マノーがコントロールできない。すべてのF1チームの機材は、第3戦中国GPに運ばれた後、ダイレクトに次のバーレーンへ運ばれる。つまり、マノーの2015年型ニューマシンは、中国GPに間に合うように仕上げ、中国行きのF1便に載せなければ、バーレーンまでも運ばれることはないのだ。

つまり、マノーは、今日(2月18日)からあと約50日のあいだに、2015年マシンを完成させ、少なくともクラッシュテストを通過させねばならない。第3戦中国GPのグリッドに並ぶかどうかは別にして、マシンはいったん中国まで空輸され、バーレーンでは必ずレースに出なければいけない。4月19日のバーレーンあとは、5月10日のスペインまで3週間の猶予があるので、その間にマシンの「本当の組み立て」をすることはできる(参考:F1カレンダー日程結果2015 – FIA Formula One World Championship Race Calendar|TopNews F1)。

しかし、輸送の事情から、中国GPが、事実上のデッドラインということになるのである。

一説には今週中にもマノーF1が2015年のエントリーリストに加わることが認められるのかどうか、結論が出されるのではないかとも言われているが、それはあくまでもエントリー料を支払ったうえでの運営側の判断にすぎない。最終的にはマノーはレースができる状態にならねばならないが、そのための猶予は50日ほどはあるということになる。

まとめ

まず、事実として:

しかしながら、

  • マノーは2015年のエントリー料を支払った。
  • マノーは2014年型マルシャのマシンの2015年シーズンでの出走は拒否された。

したがって、

  • マノーには2015年のマシンを製造する能力は残されている。
  • 拠点はドニントンを利用することが可能である。

とみられる以上、

  • マノーはマシン製造に必要な資金を用意できる。

のであれば、第3戦中国GP行きの航空便に間に合うようにマシンを製造できるだろうし、そのためのスタッフを雇うこともできるだろう。

以上、マルシャ/マノー問題の最新のまとめである。

皮肉なことに、マノーのマシン問題に拒否権を発動したフォースインディアが、部品メーカーへの支払いが滞り、親会社も危機的状況にあると噂される事態となっている(資金問題を否定するフォース・インディア | ESPN F1)。その噂を裏付けるかのように、フォースインディアはヘレスの合同テストを欠席(フォース・インディア、初テスト自体を欠席 | ESPN F1)。続くバルセロナのテストでは「2014年型マシンのアップデート」で臨むとされている(Fインディア、ウェーレインを2日間起用 - オートスポーツweb)。まだ2015年マシンを用意できていないのだ。

マノーは、サワードの見立てと、さらに当F1ワッチが他のソースから裏を取った限りでは、最大限にすべてがうまくいけば、おそらくフォースインディアと同じような状況までは達することができる——ということになるだろう。

マノーが参戦できれば、それがレースチームとして幸せなのかどうかは当事者にしかわからないことだが、少なくとも全8チーム16台、もしかしたらフォースインディアを欠いて全7チーム14台で「興行」をおこなう悲劇に比べれば、9チーム18台がグリッドに並ぶことは、ファンにとってもレース主催者にとってもハッピーなことになるだろう。

マノーの「生き残り」を期待したい。

(CC) 画像出典:Marussia F1 car nose | Flickr - Photo Sharing!

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