F1ワッチ (F1watch)

Watching the Formula One from an Armchair

フォーミュラEでもナイトレースを検討中

大胆な計画が持ち上がった。再生可能エネルギーを前面に押し出しているフォーミュラEが、夜間レースを検討しているというのだ。

Formula E: VIDEO E HIGHLIGHTS del GP!

言うまでもなく、F1で明らかになっているように、ナイトレースはコースを明るく照らすために莫大な電力を必要とする。いったいどうやって実現するのだろうか?

ナイトレース案についての、フォーミュラE代表のアレハンドロ・アガグからのコメントは、FIAのスーパーライセンスのニュースの影に隠れてしまった(参考:フォーミュラE、F1ライセンス対象外に不満なし。 「育成用のシリーズではない」 - オートスポーツweb)。どちらも先日開催されたブエノスアイレス大会の際にコメントされたものだったからだ。

しかしF1ワッチとしては、やはりナイトレースのほうが気になる。英語ソースだと、FIAポイント制度についてのコメント記事のなかに、ナイトレースについてのコメントも含まれている。『Current E』の記事を見てみよう(Night races under discussion - Current E : Your guide to Formula E)。

アレハンドロ・アガグは「ナイトレースを開催することを考慮しているところだ」とコメントしている。

“We are thinking of doing night races,” Agag said. “The key element is how you produce electricity to light the streets. If we have a night race but we produce the energy from coal, you are going against the goals of the championship. We are already discussing with some of our venues about doing night races.” (Night races under discussion - Current E : Your guide to Formula E

フォーミュラEでナイトレースを開催するとすれば、開催地についてはいくつか候補があるようだ。しかし開催地選びよりも、街路(コース)の照明の電力をどうやって調達するのかが目下の「最大の課題(the key element)」だ。アガグは、石炭(Coal)を燃やす火力発電所から電力を調達したとしても、それはフォーミュラEの理念に反すると考えているようだ。

『Fomula E Zone』には、ナイトレースを開催したいというアガグの意図について、より多くのファンを獲得したいからだろう、と、もう少し踏み込んだ分析がなされている(Formula E looking to Night Races - Formula E Zone)。

Agag believes that a night races can attract more fans to the sport, as other motorsport series have seen a gain in television ratings on certain night races. Formula E has so far reached an audience of 56 million on TV, as well as having over 1.45 billion social media interactions over the first three races. (Formula E looking to Night Races - Formula E Zone

アガグは、他の多くのモータースポーツ選手権が、ナイトレースでは高い視聴率を獲得していることに鑑みて、フォーミュラEでも夜間にレースを実施したいと考えている。これまで、フォーミュラEはテレビで(おそらく毎戦)5600万人に観戦されており、序盤の3戦ではソーシャルメディア上で14億5000回ほど言及があったということだ。この数字をさらに伸ばすことがアガグの野望というわけだ。

上の『Formula E Zone』の記事に対するファンからのコメントをいくつか見てみると(Formula E Could Have a Night Race Agag has Revealed : FormulaE)、「F1のシンガポールGPを短くしたようなものか?」「高速道路を使ったらいいんじゃないか?」といった意見が出ている。やはりナイトレースを開催するとすれば、それはアジアやオセアニアで実施されるというのが、自然な考えのようだ。

これまでF1でナイトレースが開催されてきたのは、ヨーロッパのテレビ視聴者を優遇してきたからだ。シンガポールやバーレーンはもちろんだが、日本やオーストラリアの昼間もヨーロッパの真夜中(未明)なので、できるだけスタート時間を遅らせる処置が取られてきた。

しかし、フォーミュラEのナイトレース候補は必ずしもアジアだけではないかもしれない。というのも、F1ワッチが記憶しているところでは、例えばフラビオ・ブリアトーレなどは、F1の日曜昼開催を批判していたことがある。というのも、日曜日の昼間というお出かけするのに絶好の時間帯に、リビングルームのテレビの前にF1ファンを縛りつけるのは良いアイディアではない、と発言していたことがあったからだ。

より短時間で決勝レースを終えることができるフォーミュラEなら、たとえばヨーロッパでも夕方からナイトレースを開催すれば、週末の日中に決勝レースを放送するよりも、より多くの視聴者を惹きつけることができるかもしれない。

なんにせよ、アガグが認めているように、最大の問題は「電力」だろう。Wikipediaによると、F1シンガポールGPが必要とする電力は318万ワット(シンガポールグランプリ - Wikipedia)で、サッカースタジアムの4倍の光量でコースを照らしているという。

ちなみに300万ワットとは、「18万戸の家庭用電力用をまかなえる量」だと言及しているブログもあり(参考:太陽光発電!:スタッフブログ|群馬県のリフォームなら、前橋市のミタカ工房へ!)、F1のナイトレース一回で、ひとつの都市をまかなうことができるほどの膨大な電力のようだ。

いくらフォーミュラEが短時間で全セッションを終えることができるとしても、これだけの膨大な電力をどのようにして「フォーミュラEの理念」のもとで実現できるのか。商業主義・拡大主義のもとではナイトレースは正しい判断だろう。しかし、石炭を燃やさずにどうやって莫大な電力を確保できるのか。原子力発電は「エコ」なのか? 風力発電などグリーンエネルギーを購入するのか? これはこの新シリーズにとって大きな挑戦だと思われる。

(CC) 画像出典:Formula E: VIDEO E HIGHLIGHTS del GP! | Flickr - Photo Sharing!

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