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F1ワッチ (F1watch)

Watching the Formula One from an Armchair

消滅したマルシャチームの財政と借金が明らかにされ始めた

マルシャの消滅が各方面に影響を与えている。ここ数日の英メディアはその件でかしましいが、さらに『フォーミュラ・マネー』のクリスチャン・シルトが、新たなネタを仕入れてきた。

Timo Glock

シルトを情報源とするMotorsports.comの記事によると、マルシャはティモ・グロックに対しておよそ1億2千万円の負債があるというのだ(Marussia still owes Timo Glock $1m - source | News | Motorsport.com)。

この件を筆頭に、マルシャの内情が明らかにされ始めている。まず、これまでの経緯から整理していこう。

マルシャについては、2014年12月27日付けの英『サンデー・テレグラフ』紙を情報源として、既に英ロイズや、マクラーレンやフェラーリといった他チームに対しても、巨額の負債があることが明らかにされたばかりである(Lloyds hit by £10m loss over collapse of Formula One team - Telegraph)。

そもそもマルシャが、2010年にヴァージンとして立ち上げられたとき、その資金を提供したのはロイズ銀行の一部門であるLDC(ロイズ・デベロップメント・キャピタル)だった。そして同社はそのままヴァージンの主要株主となったのである。

The F1 team was set up in 2010 with funding from LDC, which became its majority shareholder. (Lloyds hit by £10m loss over collapse of Formula One team - Telegraph

残念ながらチームの成績は低迷し、ヴァージン・グループもわずか2年でF1から手を引いたが、ロイズはチームの支援を続けた。しかし遂に2013年4月の段階で、ロイズはロシアのマルシャにその株式を全て売却し、チームから手を引いたことは、既報の通りである(Lloyds puts brakes on F1 venture after £46.3m loss - Telegraph)。

それにもかかわらず、現時点でもロイズはマルシャから資金を回収できないほど多額の貸付があると、最新の『サンデー・テレグラフ』は伝えている。

LDC is owed £13.2m which is secured on all of Marussia F1’s assets. It gives LDC priority over the other creditors, but according to documents from FRP, the estimated payout will come to £1.6m at most. (Lloyds hit by £10m loss over collapse of Formula One team - Telegraph

ロイズが保有するおよそ約15億円の借金は、全てマルシャF1の資産によって担保されていたものだったが、最近明らかにされたところによると、最大でも2億円程度しか回収できないことがわかったという。

さらに、パワーユニットを提供していたフェラーリと、ECUなどを提供していたマクラーレンに対しても、マルシャは多額の負債がある。

The biggest bill is the £16.6m owed to Ferrari for supplying engines to the Banbury-based team. Ferrari is followed by British engineering firm McLaren, which is due £7.1m. (Lloyds hit by £10m loss over collapse of Formula One team - Telegraph

フェラーリに対しては約20億円、そしてマクラーレンに対しては約8億円、と『サンデー・テレグラフ』は伝えている。

興味深いのは、マルシャの資金源が、ロシアの自動車会社マルシャのオーナーである事業家アンドレイ・ チェグラコフを除くと、マックス・チルトンであったと記されていることだ。

Its main source of funding was investment from Marussia’s ultimate owner, Russian businessman Andrei Cheglakov. However, it also received £7m annually from British driver Max Chilton, son of Grahame Chilton, the former chairman of reinsurer Aon Benfield.

その額は年間およそ8億円が、チルトンからチームにもたらされていたという。しかし、マルシャチームの財政は、2013年末から急速に悪化し、2014年を終えることなくチームは破産した、と同記事は伝えている。(Lloyds hit by £10m loss over collapse of Formula One team - Telegraph

さて、この借金地獄にさらに新たに加わったのが、ティモ・グロックである。

The collapsing F1 backmarker Marussia still owes a whopping $1 million to its former driver Timo Glock. [....] It shows that German driver Glock, who raced for Marussia and its former guise Virgin between 2010 and 2012, is one of the dozens of parties owed the most by the team. (Marussia still owes Timo Glock $1m - source | News | Motorsport.com)

Motorsport.comによると、グロックは、2010年から2012年にかけて、ヴァージンからマルシャへとチームの主体が入れ替わるなかでドライブし続けたが、およそ1億2000万円の貸しがマルシャにあるという。

All together, Marussia owes almost $50 million to creditors, but administrator Geoff Rowley told the Telegraph that they "will suffer a significant shortfall" even though the team's assets are being auctioned.

こうしたマルシャが抱えていた借金の総額は、およそ60億円に上るとみられる。しかし管財人のジェフ・ローリーが英『テレグラフ』紙に語ったところによると、それらが全額支払われる見込みはない。チームの資産が全てオークションによって処理されたとしても、到底払える金額ではないのだ。

ただしF1ワッチとして付記しておきたいのは、これはあくまでも公式文章からグロックに対する未払いが明らかになった、というだけの報道であり、決してティモ・グロック自身が債権者として名乗りを挙げた、というものではない。グロック側からのコメントは記載されていないことに注意したい。

このように、マルシャというチームが消滅したことで、払われるべきであったお金も共に消えてしまったことになる。

もちろん当F1ワッチは、このマルシャのニュースをワイドショー的に楽しみたいのではない。現在のF1は、いわば高くつきすぎるビジネスであり、こうした状況下に陥るチームは決して例外ではない以上、何らかの根本的な対策が必要だということである。

チームが消滅するということは、単にF1に参戦する台数が減るというだけではなく、そこで働くチームやドライバーたちが路頭に迷うというだ。さらにマルシャは、日本GPにおけるジュール・ビアンキの一件での責任が問われないと決まったわけではない(参考:ビアンキのクラッシュ、「ブレーキ・バイ・ワイヤー」が原因だった可能性が浮上 - TopNews F1)。もし万が一、責任を取るという段階になったとき、その主体となるチームが消滅していたらどうなるのか。その先行きは透明ではない。

(C) 記事出典:Marussia still owes Timo Glock $1m - source | News | Motorsport.com

(CC) 画像出典:Timo Glock | Flickr - Photo Sharing!

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