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F1ワッチ (F1watch)

Watching the Formula One from an Armchair

フェラーリはエイドリアン・ニューウェイを待ち続けている

フェラーリ エイドリアン・ニューウェイ セバスチャン・ベッテル マウリツィオ・アリバベーネ

フェラーリにリストラの嵐が吹き荒れている。2014年のシーズンオフ、フェラーリに関して耳に入ってくるのは「首切り」と「採用」の話ばかりだ。ブリヂストンから移籍した浜島裕英も今年限りでフェラーリを離職することが決まっている(参考:浜島裕英、フェラーリ辞職 - TopNews F1)。

Ferrari F1

トップも替わった。フェラーリ社の会長は、ルカ・ディ・モンテゼモーロからセルジオ・マルキオンネ(Sergio Marchionne)に代わった。F1チーム代表は、マルコ・マティアッチからマウリツィオ・アリバベーネ(Maurizio Arrivabene)に交代した。マティアッチのわずか8ヶ月の在任期間も衝撃だが、モンテゼモーロは23年間もフェラーリを率いてきたとは驚きだ(参考:フェラーリのモンテゼーモロ会長が、フィアットのマルキオンネ氏との対立で辞任へ - Autoblog 日本版)。

フェラーリのクリスマス記者会見で、この二人の新しいトップが新生フェラーリについて構想を語ったようだ。その件に寄せて、ジャーナリストのジェイムズ・アレンが分析記事を書いているので紹介したい(Ferrari upheaval: “Vettel is not naive, he knows what’s happening at Ferrari. He’s taking a gamble” | James Allen on F1)。

アレンによれば、フェラーリの最大の望みは、エイドリアン・ニューウェイの加入だという。

Having failed to persuade both Adrian Newey and Ross Brawn to join the team at this point, to lead the rebuilding process, Ferrari moves ahead with a new team of talented people, but no stars. (Ferrari upheaval: “Vettel is not naive, he knows what’s happening at Ferrari. He’s taking a gamble” | James Allen on F1

フェラーリには技術部門の核となる人材が欠けており、エイドリアン・ニューウェイやロス・ブラウンを勧誘したが、現時点ではリクルートに失敗した。現在進行中の大小のリストラを束ね、チームを再生させることができる優秀な人材をフェラーリは求めたが、既に名の知れた大物は残っていなかったのが現状だ。

This is Arrivabene’s principle task. (Ferrari upheaval: “Vettel is not naive, he knows what’s happening at Ferrari. He’s taking a gamble” | James Allen on F1

つまり、新代表のアリバベーネが、ニューウェイやブラウンに替わって、新生フェラーリを安定的に発展させていく監督役を務めなければいけないということだ。これが彼の仕事である。

He [Arrivabene] has hired Jock Clear to replace Pat Fry as head of track operations. (Ferrari upheaval: “Vettel is not naive, he knows what’s happening at Ferrari. He’s taking a gamble” | James Allen on F1

しかし、新任のアリバベーネには、あまりにもやるべきことが多い。彼がチーム運営だけに集中できるように、レースに関する責任者として、新しくジョック・クリアを雇うことにしたのだ。

ジェイムズ・アレンが、クリアの人柄を説明した一節が面白い。

Jock was a keen rugby player and he is a real competitor, a real fighter and he has immense experience as a race engineer. He’s in his 50s, so could and probably should, have made the step up to this level of engineering management some time ago. But he has been happy to stay at the coal-face, in day to day race engineering because he enjoys it. (Ferrari upheaval: “Vettel is not naive, he knows what’s happening at Ferrari. He’s taking a gamble” | James Allen on F1

「ジョックはラグビーの優れた選手であり、真の競争者であり、本物の戦士だ。そしてエースエンジニアとしても豊富な経験を積んでいる。彼は既に50歳台で、これまでにエンジニアリングを統括するようなポジションについていてもおかしくなかった人間だ。しかし、彼は顔をオイルで真っ黒にして働き続けることに喜びを感じ、今日までずっと楽しんでレースエンジニアを続けてきたのだ」

なぜジョック・クリアなのか、という素朴な疑問に対する答えを得たような気がする。彼はアリバベーネとタッグを組んで、フェラーリを運営していくポジションに着くが、これはクリアにとっても初めての挑戦なのである。

The door at Maranello remains open to Newey, should he change his mind and want to take the Ferrari challenge. He looked at it very carefully this April before deciding it wasn’t for him. He will be immersed in America’s Cup racing for a while, but you only need to look at his contribution to the forthcoming Zoom Auction – a photo of his garage, like an Aladdin’s cave of racing stuff, to realise that racing is his heart and it’s likely that he will feel its pull again at some point. (Ferrari upheaval: “Vettel is not naive, he knows what’s happening at Ferrari. He’s taking a gamble” | James Allen on F1

しかしアレンによると、そういった現状でのベストを固めようとしている一方で、フェラーリは常にニューウェイにたいしてはドアを開き続けているという。もしニューウェイの気が変わって、フェラーリでの新たな挑戦を受け入れれば、すぐに契約が結ばれるだろう。現在のニューウェイは、フェラーリでの仕事に慎重な姿勢をとっており、むしろヨットのアメリカズカップに魅せられている。しかし、彼の心のなかにモーターレーシングがあることを思い出したら、すぐにでも帰ってくるかもしれない。

なお、こうした大幅なリストラを含む構造改革について、マルキオンネは「我々は全てを新しくした。再出発したのだ(We have renewed everything. We are starting again)」とクリスマス記者会見で述べ、2015年は我慢の年になるだろうと予測している。すぐに結果が出るわけではないことは承知で、大改革をおこなっているということか。

もし彼の予想が正しければ、2015年シーズンの終わりごろには(from the end of 2015)、新生フェラーリがよい結果を生み始めるはずである。

フェラーリチームと、そしてベッテルの攻めの「賭け」が、果たしてどう転ぶのか。「フェラーリのお家騒動が始まった、もう終わりだ」という素人観測もあろうが、今シーズンの大リストラは、もしかするとフェラーリが栄光を取り戻すきっかけになったと2年後には評価されるのかもしれない。

(C) 記事出典:Ferrari upheaval: “Vettel is not naive, he knows what’s happening at Ferrari. He’s taking a gamble” | James Allen on F1 – The official James Allen website on F1

(CC) 画像出典:Ferrari F1 | Flickr - Photo Sharing!