Subscribed unsubscribe Subscribe Subscribe

F1ワッチ (F1watch)

Watching the Formula One from an Armchair

グティエレスがフェラーリに移籍した理由?

エステバン・グティエレスが2015年シーズンはフェラーリのテスト兼リザーブドライバーになることが発表された。

F1

あまりにも唐突だったので、飛ばし記事かと思われたが(?)、一夜明けても覆っていないところを見ると、どうやら事実のようだ。グティエレスは優れたドライバーのひとりであることは間違いないだろう。しかし……、なぜ?

(1) メキシコGP

まず想像される理由は、メキシコGPとの関係だ。

フェラーリの公式プレスリリースは面白いことを書いている。その「メキシコ人がマラネロに戻ってきた」という見出しは、興味深く、かつ意味深である(A Mexican driver is back to Maranello | Scuderia Ferrari)。

Welcoming Esteban also means opening the gates of Ferrari to a driver from Mexico, a country where the Scuderia still has a lot of fans, just as was the case fifty years ago in the days of the Rodriguez brothers.

スクーデリア曰く、フェラーリは常にメキシコ人ドライバーに対して門戸を開いてきた。メキシコには多くのフェラーリファンがいる国である。そう、50年前にロドリゲス兄弟が活躍していた時代から……と。このメキシコという国家と国民への丁重な配慮!

ロドリゲス兄弟とは、ペドロ・ロドリゲス(兄)とリカルド・ロドリゲス(弟)のことで、共にF1をドライブしたが、共にレース中に事故死したメキシコ人である。やはりどちらもレーシング・キャリアのなかでフェラーリのマシンをドライブしている(F1には限定されないが)。

このロドリゲス兄弟がいかにメキシコにとって伝説的なドライバーなのかは、サーキットの名前を見れば明らかだろう。かつてF1が開催され、そして2015年に復活するメキシコGP(BBC Sport - Mexican Grand Prix included on 2015 Formula 1 calendar)の舞台となるエルマノス・ロドリゲス・サーキットは、直訳すれば「ロドリゲス兄弟のサーキット」である。まさにサーキット自体が、レース中に悲劇的な死を迎えた二人の英雄を記念しているのである。

エステバン・グティエレスは、そのF1ドライバーとしての評価に加えて、現在のドライバーマーケットの中でのメキシカンという部分にフェラーリは多いに価値を見いだしたとも言えるだろう。おそらく様々なキャンペーンが実施され、グティエレスがメキシコでのイベントで大活躍するのではないかと想像される。彼の存在のおかげでフェラーリのロードカーが何台売れるのか……。

(2) スポンサー

スクーデリア・フェラーリは、グティエレス加入の発表の後、すみやかに新スポンサー獲得の発表もおこなっている。

f:id:quzy:20141217082921p:plain

このニュースはグティエレス加入とは切り離された別物ではあるが("A new sponsorship agreement for Scuderia Ferrari http://t.co/Z7Sn3sEMAw http://t.co/1vV4hniTzq")、両者を切り離して考えることは難しい。テルメックス、テルセル、クラロ、すべてがメキシコの企業であり、グティエレスにくっついてフェラーリへのスポンサーを開始したと考えるべきだろう。

ザウバーでプレミアム・スポンサーを務めてきたテルメックスとクラロがどう動くのか。もちろんザウバー側は、グティエレスとの契約を解除した段階で、スポンサーがどう動くのか、それとも動かないのか、掌握しているはずだが……。

(3) ザウバーとのパートナーシップ

そのザウバーとの絡みで挙げておきたいのが、フェラーリとザウバーのあいだの「特別なパートナーシップ」だ。とはいえこの理由は周辺事情からのまったくの憶測に過ぎないが……

フェラーリとザウバーの関係は、長年に渡る。しばしばザウバーはフェラーリのBチーム(satelite team)なのではないか、と言われてきたことも事実である(Ferrari looking to Haas for F1 'satellite' team | News | Motorsport.com)。

Ferrari has historically had close alliances with 'customer' teams, such as Sauber, and also Marussia, where leading team 'academy' driver Jules Bianchi is currently housed.

この Motorsport.com の記事が伝えているように、フェラーリは、近年の例だけ見ても、ザウバーやマルシャをBチーム的に扱い、たとえばフェラーリのアカデミー・ドライバーであるジュール・ビアンキにマルシャをドライブさせてきた。

さらに2014年からは、高度に複雑化したパワーユニットの所以で、ザウバーはより緊密にフェラーリとのパートナーシップを結んでいる(Formula 1® - The Official F1® Website - Headlines - Sauber extend Ferrari powertrain partnership)。

こうした背景に鑑みると——繰り返すがまったくの憶測だが——、フェラーリとザウバーのあいだで、グティエレスの処遇をめぐって、何らかの「優遇処置」を取ることもできたのではないか。例えば、フェラーリはグティエレスと共にメキシカン・スポンサーを獲得するが、例えばその一部のスポンサードを2015年もザウバーに対して継続することを確約させる。その代わり、ザウバーはより強固にフェラーリからの「支配」を受け入れる……といったような。

ドライバー移籍は面白い。

ザウバーからスクーデリア・フェラーリへ、というルートは、やはり小林可夢偉が思い浮かぶが、彼があくまでもスクーデリア・フェラーリとの契約ではあるがGTカーのドライバーであったことを考えると、グティエレスの「あくまでもスクーデリア・フェラーリ(F1)のテスト兼リザーブドライバー」という契約は、まったく性質が異なり、契約に至るルートも理由もまったく異なると言えそうである。

(CC) 画像出典:F1 | Flickr - Photo Sharing!

Remove all ads