F1ワッチ (F1watch)

Watching the Formula One from an Armchair

FIAからアンチ・ドーピング・プログラムの修了証をゲットする方法

モータースポーツはドーピングと無関係なのだろうか。決してそうではない。現在、FIAはアンチ・ドーピングの取り組みを進めており(Anti-doping | Federation Internationale de l'Automobile)、その活動の一環として「RACE TRUE(誠実にレースをしよう)」キャンペーンを実施している。

そこで用意されているのが、モータースポーツにおけるドーピングとはいったい何なのかを学習するためのEラーニング・プログラムである(Race True E-learning | Federation Internationale de l'Automobile)。これは競技者(ドライバー)だけではなく、医療関係者、チームメンバー、そしてドライバーの両親など、さまざまな「レース関係者」に向けてリリースされており、ファンもその対象に含まれている。

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当F1ワッチも、さっそくこのEラーニングに取り組み、およそ60分にわたるオンライン講義を受講したのち、修了テストに合格し、FIAからディプロマ(修了証)を入手した。まだ残念ながら日本語は用意されていないが、F1ファンにとっては外国語のリスニング教材としても活用できるので、その内容を簡単に紹介したい。

まず、FIA Race True のアカウントを作成する必要がある。(Race True E-learning | Federation Internationale de l'Automobile)。名前とメールアドレス、生年月日、そしてどのようなレース関係者なのか(僕は「ファン」を選択)を入力する程度の簡単なもので、登録するとIDとパスワードが、なんの暗号化も施されていない平文のEメールで届く(ウェブにも表示される)。それを使ってEラーニングにログインしよう。

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Eラーニングは、ウェブブラウザ上で、このようなアニメーションと音声講義、動画、クリック型のミニテストを交えて進められる。

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「ドーピングとは、いかさま行為(cheating)です。それはあなた自身を欺くだけではなく、ライバルたちや、レース主催者、チームクルー、ファンと観客、そしてスポンサーをも欺くことなのです」

なお、「スタートラインに並ぶライバル全員がドーピングをしているんだから、公正な競争をするためには俺もドーピングをする」という論理で最も組織的かつ「先進的」なドーピング行為をおこなっていたのが、アメリカのプロ自転車選手であるランス・アームストロングである(偽りのサイクル 堕ちた英雄ランス・アームストロング)。F1ドライバーたちは大丈夫なのだろうか……と思いをはせながら、Eラーニングを進めよう。

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全てのアニメーション・スライドを消化すると、コース終了となる。

僕は個人的な習性として、必要に応じてノートを取りながらEラーニングを終えたが、およそ60分弱かかった。僕がノートを取った「興味深い」ポイントをいくつか列挙しておこう。[]内は僕の個人的なコメント。

  • 世界アンチドーピング機構が設立されたのは、1999年。[意外と新しい]
  • 選手の居場所通知システムはADAMSと呼ばれ、これは60分単位の時間割りに応じて、自分がどこにいるか報告する義務がある。もし18ヶ月以内で3回、居場所報告のミスを犯すと、2年以内の競技停止(サスペンション)となる。[モーターレーシングではまだ実施されていないのではないか?]
  • 医療行為として除外薬物を申し出ることを TUE (セラピック・ユース・エグゼンプション)。
  • 禁止薬物リストは最低年に1度は更新されるが、これが選手や関係者に通知されるわけではないので、WADAホームページを確認する必要がある。
  • モータースポーツでは独自に、国際的なルールに加えて、アルコールとベータブロッカー(交感神経β受容体遮断薬 - Wikipedia)が禁止薬物に加えられている。[おもしろい]
  • 居場所報告に基づいておこなわれる抜き打ちドーピング検査で、尿を採取して作成するAサンプル、Bサンプルの密封は、選手の前でおこなわれる。またそれぞれはラボで匿名保管され、最低3ヶ月間は冷凍保存される。

など。

さて、Eラーニングを終えると、修了テストに挑戦できる。60分の制限時間内に、15問に回答し、80%以上の正答率で合格となる。とはいえ、選択式の問題が15問しかないので、英語であるというハンディを考えても、60分もかかることはないだろう……。

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合格すると、このような自分の名前いりの修了証をダウンロードすることができる。FIAとJAFのロゴが入った書類を、友人知人にみせて自慢しよう。

受けてみた感想としては、これまで自転車絡みでどうしても耳に入ってきていたドーピング情報が確認され、うまく整理された。もし「ドーピング」についてオリンピックの100m走レベルの印象しかない人なら、「え、こんなことも?」という、目からうろこ体験ができるかもしれない。

以上、FIAによるアンチ・ドーピングの取り組みの一端を紹介した(Race True E-learning | Federation Internationale de l'Automobile)。

個人的には、F1というピラミッドの頂点まで上り詰めたドライバーたちよりも、むしろより低いカテゴリーで人生を賭けて勝負している若者たちのほうが、ドーピングから守られるべき状況下に置かれているのではないか――という印象を持った。もちろん年少者の場合、それがドーピングだとはしらずにやっているという場合もあるだろう。その際の大きな問題は「いかさま」ということだけではなく、薬物の常用が成長や健康における被害を伴いうるということだろう。

F1におけるドーピング疑惑については、また記事をあらためてまとめてみたい。

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