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F1ワッチ (F1watch)

Watching the Formula One from an Armchair

新しい味のコカ・コーラは必要ではない

人気回復 ビジネス

コカ・コーラの味は決して変わらない。F1もそうあるべきなのではないか――と、ブログを書いたのが、現在はアメリカのメディアで活躍するウィル・バクストンである。

現在、F1は、バーニー・エクレストンやルカ・ディ・モンテゼモーロらによって、ファン人気の向上を重視した改革が検討されている。しかし、バクストンによると、かつてペプシ社によって猛追されたコカコーラ社は、まるで今のF1がやろうとしているように中身(味)の改革を決断し、そして失敗した過去があるという(参考:カンザス計画 - Wikipedia)。

彼が批判しているのは、たとえばこのブログでも紹介してきたような、フラビオ・ブリアトーレが参加する特別調査委員会は開催延期に - F1ワッチ (f1watch) といった最近の一連のF1トップ陣の動きである。そこで、ここでは、彼のその長い記事から、ごく一部だけを紹介する。

Untitled

New Coke

(Quoted from The Buxton Blog)

They are wrong.

彼らは間違っている。

To anyone with even the scantest knowledge of this sport, it is abundantly clear that it is Formula 1’s business model which is broken, not the racing spectacle itself.

F1というスポーツをどれほど知らない人にとっても完全に明らかなことは、崩壊しているのはF1のビジネスモデルであって、レースのスペクタクルではないということだ。

The sport has failed to keep pace with its audience by embracing new media, and yet is willing to impose contrived gimmicks into the purity of its product to try and make the show more appealing to a market it no longer understands. [....]

このスポーツは、ニューメディアを活用する観客たちのペースについていくことに失敗してきた。そして未だに、もはや理解さえできない市場というものにショーをアピールするために、このスポーツの純粋さに不自然で小手先のインチキを加えようとしている。[....]

Twenty Nine years ago, Coca Cola changed the recipe of its flagship brand, launching one of the greatest flops in modern commercial memory. “New Coke” replaced its original namesake in April 1985.

29年前、コカ・コーラはその代表的ブランドの製法を変更し、現代の広告史に残る完全な失敗をやってのけた。1985年4月に、同名のオリジナルは「ニュー・コーク」へと置き換えられたのである。

[....] It only took until July for Coca Cola executives to announce the return of the original Coke.

しかしながら、[....] 同年の7月までには、コカ・コーラ社の重役たちは、オリジナルのコーラへの差し戻しを発表した。

The company’s President Donald Keough announced the return with words that Formula 1’s rulers would do well to dwell on over the coming weeks:

そのとき、コカ・コーラ社長のドナルド・キーオがオリジナルへの回帰を発表した際の言葉は、これから数週間のうちにF1の支配者たちが抱くであろう感情をよく示している:

“The simple fact is that all the time and money and skill poured into consumer research on the new Coca-Cola could not measure or reveal the deep and abiding emotional attachment to original Coca-Cola felt by so many people.”

「全ての時間と資金と技術が新しいコカ・コーラに関する消費者調査に使われたという単純な事実は、オリジナルのコカ・コーラに多くの人々が抱いていた深く、そして不変の感情を明らかにしたり、計測することはできなかったのだ」

The lesson is simple. Don’t mess with a product into which people have invested themselves emotionally. The public are not stupid. Don’t treat them like they are.

ここから学ぶことができる教訓は簡潔である。人々が感情移入できるような製品を、台無しにしてはいけない。大衆は愚かではない。彼らを愚かであるかのように扱ってはいけないのだ。

[....] I, as so many of my colleagues, and all the fans at home, pray that when the decisions are made that will shape the future of this sport, the decision makers keep this at the forefront of their minds. Because the only thing from which Formula 1 needs saving, is itself.

[....] 多くの私の同僚がそうであるように、私と、あとは全てのF1を自宅で観戦しているファンは、このスポーツの未来が形作られるような決定が下されることを祈っている。このことを、決定を下すひとびとは最重視すべきだ。なぜなら、F1を救えるのは、F1自身だからである。

以上、ウィル・バクストンの記事から、彼の主張をよく伝えると思われるごく一部分だけを紹介した。

僕はコカ・コーラの「失敗」をしらなかったので、なるほど、と思いながらその例えを読んだ。僕は、これまで多くのF1チームスタッフやジャーナリストが、現在のF1というレース自体になんの問題もないと信じていることを紹介してきたが、それらを紹介してきたのは、まさに僕自身がどう考えているのか決めかねていたからだ……と僕がいうのは、今さら変なハナシなのかもしれないのだが。

しかしやはり、今のF1が進もうとしている方向は、何かがおかしい。それは、レースとしての面白さとは関係のない、余計な小道具(gimmicks)であったり、サーキットに対して課される理不尽な権利量であったり、ごく一部のF1チームに対してだけ賞金が分配されるというおかしな契約であったり、そういうものによって生み出されているのだろう……そこを見誤らないことが、ファンにとっては重要であるように思う。決してF1そのものを否定する必要はない、ということに、なるだろうか。こういう物言いは、関係者寄りの発想であるようにも思うのだが。

(C) 記事出典:New Coke | The Buxton Blog

(CC) 画像出典:Untitled | Flickr - Photo Sharing!