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F1ワッチ (F1watch)

Watching the Formula One from an Armchair

なぜトゥルーリはフォーミュラEに参戦できたのか

フォーミュラE ヤルノ・トゥルーリ ドレイソン・レーシング ポール・ドレイソン

先日、元F1ドライバーのヤルノ・トゥルーリが、フォーミュラE選手権に自らチームを率いて参戦することが発表された(参照:Jarno Trulli to race in Formula E with own TrulliGP team | Motorsport.com)。このニュースは、日本のF1ファンにもおおむね暖かく迎え入れられたと思われる。

しかし、少しばかり注意深いファンなら、不思議に思ったはずだ。フォーミュラEの初年度に参戦するチーム数は10であり、その10チームは既に決定済みだった。つまり、もはやトゥルーリのチームが参戦する余地は存在しなかったのである。

僕は新旧のリストを見比べて、トゥルーリのチームが、英国のドレイソン・レーシングの替わりにエントリーされていることに気がついたが、これはいったいどういうことだろうか。このミステリーについて、その理由と考えられる「懸念」について、ジョー・サワードが短いながらも鋭い記事をポストしていたので紹介したい。

Mike Gascoigne and Jarno Trulli discuss the latest car issues

Formula E and Formula 1

(Quoted from joeblogsf1)

The news that Jarno Trulli has bought a Formula E entry has been mistaken for a good sign for the planned championship,

ヤルノ・トゥルーリがフォーミュラEのエントリー権を購入したというニュースは、この計画中の選手権にとっての良いニュースだと誤解されている。

but it does raise some interesting questions about the new electric series which kicks off in the autumn.

実際のところ、このトゥルーリのニュースは、今秋から始まる電気自動車シリーズいくつかの興味深い疑問を呈している。

Trulli has acquired the entry from Drayson Racing.

トゥルーリは、ドレイソン・レーシングから参戦権を獲得した。

The question that has not been asked, however, is why Drayson has given up on the project, after being the first team to sign up to the idea back in January 2013.

しかしながら、なぜドレイソンのような男がそのプロジェクトを諦めなければいけなかったのだろうか。この謎は問われなければならない。時を遡れば、彼は2013年1月にフォーミュラEに参戦する最初のチームとして契約していたのだ。

Drayson has long been a pioneer of green technology racing and is extremely well-connected as a former British Minister for Science & Innovation.

ドレイソンは、長年にわたって環境保護技術を活用したレースの先駆者であり続けており、かつ英国の元科学技術大臣でもある。[訳註:ドレイソン・レーシング代表のポール・ドレイソンは英国の貴族(男爵)であり、トニー・ブレアからゴードン・ブラウンに至る労働党政府の要職を務めた。]

Logically, the only reason to give up one’s entry at this point is because one cannot afford to go ahead and if a man with such credentials cannot find the sponsorship to support such an effort one has to ask whether anyone else can.

論理的に考えて、ドレイソンが参戦を諦めなければならなかった理由は、スポンサーを見つけることができなかったからだろう。もしもドレイソンほどに名声も地位もある人間が、参戦費用を賄うだけのスポンサーを見つけることができなかったとしたら、いったい他の誰にそんなことができるだろうか。

以上、トゥルーリ参戦の裏にある「懸念」を見たジョー・サワードの記事を紹介した。

ポール・ドレイソンは、いわば現代版のアレクサンダー・ヘスケス (Archive - F1ワッチ)とでも言えるだろうか? 日本のF1ファンにとっては彼は無名だが、ヨーロッパ、とりわけ英国にとっては、彼のようなアマチュア・レーサー、かつ貴族、そして英国政府関係者、という人間がフォーミュラEに参戦することは、大きな意味があったはずなのである。しかしその彼が、自らのチームでの参戦を諦め、ヤルノ・トゥルーリに名義を手渡し、自らは技術パートナーの位置を演ずることになった(参考:TrulliGP New Team in Formula E : News : Drayson Racing Formula-E Team)。

フォーミュラEは、環境保護・未来志向であり、F1よりもビジネスの面で有利ではないかと思われていたが、実際にはそうではないのかもしれない……。

(CC) 画像出典:Mike Gascoigne and Jarno Trulli discuss the latest car issues | Flickr - Photo Sharing!

(C) 記事出典:Formula E and Formula 1 | joeblogsf1