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F1ワッチ (F1watch)

Watching the Formula One from an Armchair

英国のF1中継の視聴者数は激増しているように見えて、実際には劇的に減少している

英国 F1中継 インターネット

F1中継の視聴スタイルが変わりつつあると言われている。数年前まではTVで見るのが当たり前だったが、今はネットのライブストリーミングやオンデマンド配信にファンは移行しつつあり、それがTVの視聴率の低下に結びついていると言われている。バーニーもそう考えているようだが、しかし、それは本当だろうか。

英国では、ネット配信のF1視聴者数が増加しており(BBCは+33%, Skyは+11%)、さらに面白い傾向としてラジオ中継の聴取者数も劇的に増加している(+53%)。この点について『F1 Broadcasting Blog』のデイビッドが、オートスポーツなどが「増加〈率〉の数値」にごまかされて事実を見失っている、と辛口な、しかし説得的な批判しているので紹介したい。

First race of the 2011 F1 season

Why F1 is still experiencing a viewer decline – even with VOD included

(Quoted from The F1 Broadcasting Blog)

Yesterday, AUTOSPORT published an article noting that BBC’s iPlayer figures for Formula 1 have increased 33 percent, whilst their Radio 5 Live figures have increased 53 percent. The paragraph concludes by noting that “there is a growing view that the way people consume F1 is changing dramatically”.

昨日、オートスポーツがBBC iPlayerのF1中継の視聴数が33%増加し、BBC Radio5 Liveの聴取数も53%増加したと報じた。その記事には「こうした数値の増加は、人々がF1を視聴する方法が劇的に変わりつつあることを示している」と書かれている(参考:Bernie Ecclestone dismisses F1 TV decline and social media calls - AUTOSPORT.com)。

Whilst I agree that habits are changing, I’m not entirely convinced by the validity of that sentence.

人々の習慣が変わりつつあるという点には私は同意するが、だからといって、オートスポーツの分析が正しいと完全に確信できるわけではない。

The point I’m making is that percentages do not always tell the full story, and they certainly don’t here.

私が指摘したいのは、パーセント(割合)というのは、常に不完全な情報しか私たちにもたらしてくれないということだ。そしてF1の視聴率でも同じことが言える。

In fact, whilst BBC’s figures have dropped 426k for a variety of factors already covered in detail on this blog, Sky’s viewing figures have increased only 79k. [....] The combined figures for the UK are down 8 percent or 350k.

[別の統計と照らし合わせて]実際の数値を見てみよう。既に当ブログで報じたように、[F1中継の視聴者数が12%減少したという]BBCの視聴者数は43600人減少した。[視聴者数が11%増加したという]Skyの視聴者数は7900人しか増えていない。[....] 英国全体で数値をあわせると、視聴率では8%減少して、35000人がF1を見なくなった。

All the percentages we have are listed below:

+ 53 percent = BBC Radio
+ 33 percent = BBC iPlayer
+ 11 percent = Sky TV (+79k)
- 8 percent = BBC TV + Sky TV (-350k)
- 12 percent = BBC TV (-426k)

上記が、全てのパーセンテージをまとめたものになる。[()内が実数を示している]。

[訳註:元記事にはBBC iPlayerの実数予測も掲載されている

Whilst there is changing viewing habits, you cannot escape the fact that there are fans no longer watching the sport and are not being replaced by new fans at the same rate, whether it is due to the on-track action changing (DRS, Pirelli’s, turbo’s), those in charge of the sport running into a power-trip with no direction thanks to rules nobody wishes to see (double points), fans feeling distant from the sport (expensive ticket prices) or because Formula 1 is moving to a pay TV model, thus – MotoGP fans know what that feels like. I’ll let you decide…

人々の視聴スタイルが変わりつつある一方で、ファンがもはやF1中継を見ていないという事実からは逃れることはできない。そして新しいファンが減少率をカバーするほど増えているわけでもない。これはいったい何が原因だろうか。DRSのせいか、ピレリタイヤのせいか、ターボエンジンのせいだろうか。このスポーツは行く先を見失った自己満足へと迷い込みつつある。「最終戦はポイント2倍」のような誰も望まないルールはありがたい限りだ。高価なチケットのせいでファンはこのスポーツに距離を感じているのか。もしくは、F1が有料TVモデルへと移行しつつあるので、人々をこのスポーツから締め出そうとしているのか。MotoGPのファンはそれがどんな気持ちかよく知っているだろう。私はあなたに決断を迫らなければいけない……。

以上、『F1 Broadcasting Blog』から、視聴者数の増減を率ではなく実数で考えるべきだという趣旨の記事を紹介した。英国のF1中継は、「率」で考えると今年にはいって劇的に増加しているように見えるが、実数ではおおきく減少しているというショッキングな指摘だった。

F1の運営者たちはどのように考えているのかわからないが、視聴者たちは態度を変えつつあるとすれば、それは中継を見るメディアを変えるのではなく、単に中継を見なくなっているだけということのようだ。

最後のパラグラフ。有料オンデマンド配信に切り替わることで人々が締め出されつつあるという指摘(pricing people out of the sport、「pricing out」 というのは、法外な値段をつけて顧客を締め出すという表現である)は、日本にも当てはまる。確かにフジテレビNEXTオンデマンドは便利だろうが、それだけのお金を払ってくれる視聴者は多くはないだろう。日本では、地域限定ながら地上派で復活したというテレビ中継ダイジェストが、F1にとっての命綱になるかもしれない。

(C) 記事出典:Why F1 is still experiencing a viewer decline – even with VOD included | The F1 Broadcasting Blog

(CC) 画像出典:First race of the 2011 F1 season | Flickr - Photo Sharing!