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F1ワッチ (F1watch)

Watching the Formula One from an Armchair

ウィリアムズのリチウムイオンバッテリー技術がフォーミュラEを加速する

ウィリアムズ KERS フォーミュラE

フォーミュラEは全く新しいカテゴリーだが、既存のF1チームが多くの技術関与をしている。なかでもウィリアムズは、ウィリアムズ・アドバンスド・エンジニアリングという関連会社を通じて、フォーミュラEの心臓部ともいえるリチウムイオンバッテリーを供給しているが、どうやらこれはF1のKERS技術から発展させた最先端技術が応用されている。

先日、フォーミュラEのシェイクダウンテストが成功した(ドニントンパークで、フォーミュラEのテストが成功(動画) - F1ワッチ (f1watch))が、その成功をうけて、ウィリアムズがフォーミュラEへの技術関与について公式リリースを出したので、そのスペックと由来に関する部分を紹介しよう。

Jaguar_C-X75-1026

Formula E Cars with Williams Batteries Complete Successful Test at Donington

(Quoted from Williams

Teams competing in the all-electric FIA Formula E Championship got their first chance to familiarise themselves with their Spark-Renault SRT_01E cars today during a shakedown session at Donington Park.

電気自動車で争われるFIAのフォーミュラE選手権に参戦するチームが、ドニントンパークのシェイクダウン・テストに参加した。これはチームにとっては、供給されるマシンであるスパーク・ルノー SRT_01E を熟知する最初のチャンスとなった。

The cars feature a highly sophisticated lithium ion battery developed by Williams Advanced Engineering, the engineering services and technology business of the Williams Group.

マシンは、高度に洗練されたリチウムイオンバッテリーを搭載しており、それはウィリアムズグループでエンジニアリングサービスとテクノロジービジネスを担っているウィリアムズ・アドバンスド・エンジニアリングによって開発されたものである。

Williams Advanced Engineering has designed the Formula E battery to meet the series requirements set out by the FIA and the requirements of the car developed by Spark Racing Technologies.

ウィリアムズ・アドバンスド・エンジニアリングは、フォーミュラEのためにバッテリーを設計した。それはFIAによって要求される仕様を満たすものであり、スパーク・レーシング・テクノロジーズによって開発されるマシンにも適合するものである。

Fundamental requirements are a 200kg cell weight limit, 1000V maximum allowed bus voltage, 200kW peak power limit and maximum usable energy of 28kWh including regenerative energy.

バッテリーの基本仕様は、重量が200kg以下、最大バス電圧が1000V、ピーク電力が最大200kWであり、再生エネルギーを含めた最大仕様エネルギーが28kWhである。

[訳註:例えば、身近に走っている電気自動車である日産のリーフのバッテリーは300kgの重量があり、最大400Vの電圧を有すると日産のメンテナンスマニュアルに記載されている。これらの数値が直接フォーミュラEの上記スペックと比較できるのかは確信できないが、少なくともウィリアムズによって供給されるリチウムイオンバッテリーが、現行の市販電気自動車のものよりも軽量かつより大きなパワーを供給できるように設計されていることは想像できる。]

Formula E car requirements also meant that the WAE battery had to be designed into a safety cell with strictly defined dimensions. Designed and manufactured at the Williams Advanced Engineering facility in Grove, the Formula E batteries are taking energy storage technology to the extremes and borrow knowledge gained from Williams’ work on the C-X75 hybrid supercar and Formula One KERS technology.

さらにそのバッテリーは、安全保護のためのセルに収められ、かつ厳しく規定されたサイズに収まることがフォーミュラEによって要求されている。これはイングランドのグローブにあるウィリアムズ・アドバンスド・エンジニアリングの工場で、設計と生産されており、ウィリアムズがこれまで開発してきたジャガーのハイブリッドスーパーカーC-X75や、F1のKERS技術で得られた知見が、最先端バッテリーの製造に生かされている。

以上、ウィリアムズの公式リリースからフォーミュラEのエンジンスペックとその技術の由来についての部分を紹介した。

思えば、2009年にF1にKERS(運動エネルギー回生システム)が導入されたとき、ファンの反応は疑心暗鬼であり、F1ジャーナリストからも、ごくわずかなパワーだけを回収し、保存し、出力するだけの限定的なアシストシステムは技術的インパクトが小さく、かつ競技に対して与える影響はごくわずかであると批判された記憶がある。

しかしながら、その時、ウィリアムズは多くのF1コンストラクターとは別の道を歩んだ。多くのチームがメルセデスなどのエンジンメーカーにKERS技術を頼った一方で、ウィリアムズは回収したエネルギーを蓄えるためのフライホイール技術に注目し、わざわざ専業の中小企業を買収した。その会社は現在、ウィリアムズ・アドバンスド・エンジニアリングとしてさまざまな市販車やカテゴリーに対する技術提供をおこなうビジネスをおこなっているのである。これはF1におけるハイブリッド技術導入に対する、ビジネス上の成功例のひとつと言えるだろう。

フォーミュラEの「心臓部」にF1の歴史が生きていると思うと、感慨深いものがある。

(C) 記事出典:Formula E Cars with Williams Batteries Complete Successful Test at Donington

(CC) 写真出典:Jaguar_C-X75-1026 | Flickr - Photo Sharing!