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F1ワッチ (F1watch)

Watching the Formula One from an Armchair

ベネズエラのモータースポーツ・スキャンダル

2013年の事件だが、マルドナドの一件を理解するために必要な情報だと思われるので紹介する。ベネズエラ人のレーシングドライバーたちが、その特権を利用して、政府から不正に資金を盗み出していたというものだ。ベネズエラにとってモータースポーツへの投資はただでさえ高くついているようだが、さらにその支出が不正によって水増しされていたのだ。AP通信のホルヘ・ルエダ(Jorge Rueda)が2013年10月に伝えている。

とはいえマルドナド自身が不正をおこなったわけではない。むしろ彼は昨今、このスキャンダルの煽りをうけつつあるのではないか、といったところだろうか……。

Maldonado en Maracay

Engines Idled for Venezuelan Race Car Drivers

(Original text is here)

Venezuelan officials have frozen all disbursements of hard currency to automobile and motorcycle racers who compete abroad as they investigate a corruption scandal.

ベネズエラ政府は、四輪および二輪のレーサーたちに対する外貨による支出を凍結している。ベネズエラ国外で戦うレーサーたちが、汚職スキャンダルの調査をうけているからだ。

Justice Minister Miguel Rodriguez told reporters Friday that some motor sports athletes have obtained hard currency for "activities that were either fictitious or overpriced."

法務大臣のミゲル・ロドリゲスが金曜日に記者に語ったところによると、何人かのモータースポーツ選手が、国際的に流通する外貨を「虚偽、もしくは水増しされた経費報告」によって入手していたという。

Because Venezuela's bolivar currency does not trade on global markets, Venezuelan businesses and individuals depend upon the state agency called Cadivi to obtain dollars, euros and other freely traded currencies.

なぜなら、ベネズエラの国内通貨であるボリバルは、グローバル市場では取引されていないから、選手たちが国外で活動するためには外貨を入手する必要があるからだ。ベネズエラの企業や個人は、USドルやユーロといった自由貿易に用いられている通貨を入手するためには、政府機関である外貨管理委員会(Cadivi)に頼るしかない。[不正をおこなった選手たちは、外貨管理委員会に対して虚偽の報告をすることによって、本来必要なよりも多くの外貨を入手していたのだ。]

Dollars have become so scarce in this oil-rich nation plagued by economic woes, including one of the world's highest inflation rates, that they fetch on the black market more than seven times the official exchange rate.

ベネズエラは石油によって富を得ている国だが、昨今の不況、とくに世界でも最高水準のインフレによって、USドルは大幅に不足している。それゆえ、闇市場において通常の7倍もの交換レートによってUSドルが取引されている状況である。

Sports Minister Alejandra Benitez said in a newspaper interview published Thursday that an initial investigation into the Cadivi disbursements found that one driver got $66 million. She did not name the driver.

スポーツ大臣のアレハンドラ・ベニティスが、木曜日にある新聞に語ったところによると、外貨管理委員会の支出に対する初期調査によって、あるひとりのドライバーに対して67億円の支払いがあったことが明らかになったという。彼女はそのドライバーの名を明かさなかった。

She noted that more than 98 percent of her budget for foreign competitions goes to motor sports.

彼女によると、ベネズエラのスポーツ省が海外で戦うスポーツ選手に対して用意している予算の98%以上が、モータースポーツ選手に対するものである。

Among the affected drivers is E.J. Viso, who apparently canceled his participation in this weekend's IndyCar Series' season finale in Fontana, California. Viso was listed as being "ill."

このモータースポーツに対する外貨支出の凍結のあおりを受けたのが、E.J.ヴィソ(参照:E.J.ヴィソ - Wikipedia)である。彼は週末に予定されていたインディカーシリーズの最終戦(カリフォルニアのフォンタナで開催された)を棄権したのだ。ヴィソは「病欠」と記されていた。

以上、AP通信で配信された記事を紹介した。

F1を通じて世界情勢を見直すのは楽しい。ベネズエラ政府の新しいスポーツ大臣が、2014年のモナコGPを前にして「モータースポーツは除外だ」と語ったことの背景が徐々に明らかになってきた。

果たしてマルドナドはどのような状況に置かれているのか。彼がペナルティ・ポイントをどれだけ稼いでいるかどうかに関わらず、彼を取り巻く状況は想像以上に悪化しているようだ。当F1ワッチのベネズエラ関連記事も参照していただきたい

(追記 2014.5.26)当記事中で hard currency を「外貨」、soft currency を「(ベネズエラの)通貨」と訳した。これは、ハード・カレンシーが国際的に流通・通用する強い通貨(USドル、ユーロなど)のことを指し、ソフト・カレンシーがそうではない弱い通貨(自国外では通用しないようなものなど)を指すことを踏まえ、ベネズエラにとってのハード・カレンシーは「外貨」であり、ソフト・カレンシーは自国の通貨であると考えたからだ。

(C) 記事出典:Engines idled for Venezuelan race car drivers

(CC) 画像出典:Maldonado en Maracay | Flickr - Photo Sharing!

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