F1ワッチ (F1watch)

Watching the Formula One from an Armchair

イギリスGPの将来はシルバーストンにかかっている

アゼルバイジャンの追加や韓国の廃止など、早くも来期以降のF1カレンダーの話題が盛り上がっている。そんな中で、イギリスGPの未来が不安視されていると経済誌『フォーブス』でクリスチャン・シルトが指摘している(Bernie Ecclestone Casts Doubt Over Future Of British Grand Prix - Forbes)。バーニー・エクレストンはイギリスGPの将来を不安視しており、それはシルバーストンを運営している英国レーシングドライバーズクラブ(BRDC)に責任があると考えているようだ。

On the Turn

F1の最高責任者であるバーニー・エクレストンは、イギリスGPの未来を疑問視している。

Formula One’s chief executive Bernie Ecclestone has cast doubt over the future of the British Grand Prix due to uncertainty about the ownership of Silverstone, the historic race track in England which hosts the race.

なぜなら、シルバーストンの所有権があやふやな状態にあるからだ。シルバーストンはイングランドにある歴史のあるサーキットで、現在、F1レースを開催している。

Silverstone is owned by the British Racing Drivers’ Club (BRDC), a group of 850 senior motor racing figures which took over the lease of the track from Britain’s Royal Automobile Club in 1952.

シルバーストンは英国レーシングドライバーズクラブ(BRDC)によって所有されている。BRDCは850人のレース関係者によって構成される団体で、1952年に英国の王立オートモービルクラブからサーキットの賃貸契約を買い取った。

Nevertheless, the BRDC has been trying to sell the track’s operating company Silverstone Circuits Limited (SCL) and lease its related land for the past five years. It isn’t surprising since SCL made a $3.6 million operating loss in 2012 and lost a further $1.5 million the previous year.

それにも関わらず、ここ5年に渡ってBRDCはサーキットの運営会社であるシルバーストン・サーキット・リミテッド(SCL)と周辺の土地の権利を売却しようとしてきた。2012年にはSCLが約4億円の損失を出し、昨年はさらに2億円の損失を記録していることは、驚くべきことではない。

“God only knows what is going on at Silverstone, it’s quite incredible,” he told Forbes. “This is the BRDC. That’s the problem. Years ago they could have sorted all that out. I got them out of a silly deal and got them 60 million in cash. Who knows whether the race is at risk. We have come to an arrangement with them. I’m happy with that.”

「シルバーストンがどうなるのかは、神のみぞ知るところだ。まったく信じられない」と、バーニー・エクレストンは『フォーブス』誌に語った。「BRDCだ。彼らが問題なのだ。何年か前、彼らは全てをうまくやれたかもしれなかった。私は彼らをある愚かな契約から救い出し、現金60億円を与えた。彼らはレースが危機的状態にあることを理解していない。我々は彼らとの合意を目指してきた。私はそれに満足している」

Although Silverstone hosts more than 50 motor races every year, the reason that the track loses money is largely due to the single F1 Grand Prix.

毎年シルバーストンは50以上のレースを開催しているが、サーキットの赤字の大部分は、F1グランプリによるものだ。

Race organisers generally do not get any revenue from F1’s television broadcasts or its corporate hospitality and advertising hoardings during a Grand Prix. Money from them goes to the rights holder the F1 Group leaving the circuits with ticket sales as their sole source of income from the series. This usually barely covers the annual hosting fee with running costs often funded by investment from governments.

レース主催者は、F1のテレビ放送やパドッククラブ、グランプリ期間中のサーキット広告などからいっさいの収入を得られない。それらのお金は直接F1関連企業に送られているからだ。サーキットに残された収入は、F1チケットの売り上げだけである。通常、それだけでF1の開催費を補うことはほとんどできないので、政府による補助金が必要である。

Although many millionaires and several billionaires are members of the BRDC its structure as a club has meant that the directors have historically not approached them for funding.

BRDCには多くの大金持ちがおり、何人かの億万長者がいる。しかしBRDCはクラブという互助的・共済的な団体であるがゆえに、歴代の会長たちは裕福な会員に対して出資を求めてこなかった経緯がある。

Perhaps F1’s biggest irony is that the British Grand Prix does not get any state funding despite it being the first-ever round of the F1 world championship and despite the F1 Group and the majority of the 11 teams being based in Britain.

おそらくF1における最大の皮肉は、イギリスGPがまったく国家からの補助金をうけていないということであり、1950年に史上初のF1世界選手権が開催された場所であり、F1企業グループと11のコンストラクターが英国に拠点を構えているということだ。

Even the new track which is being built in Wales has already received a $3.4 million (£2 million) grant from the Welsh government which itself is funded by the UK government. The project recently attracted criticism as it is asking for a further $84 million (£50 million) more from the government but has refused to name its investors.

ウェールズで現在建設中の新しいサーキットは、既にウェールズ自治政府から3億円の補助金を得ており、その資金の大元は英国政府から出ている。しかしその計画は最近、大きな批判にさらされている。さらに80億円の出資を政府に求めながら、投資家たちの名を明らかにすることを拒否しているからだ。

Although the $3.4 million may not sound like a great deal in motor racing terms it alone could have gone a long way to covering the shortfall in Silverstone’s 2012 financial statements.

しかし3億円は、モータースポーツの世界では大金とは言えない。2012年のシルバーストンの損失を埋め合わせるためにはまだまだ資金が必要である。

2010年、シルバーストンはF1開催権をいったん失い、それに替わってドニントン・パークでF1を開催する予定になっていた。しかしドニントン・パークの破産によって、当時の「シルバーストンの危機」は立ち消えになった。当時は、バーニー・エクレストンが開催権料を引き上げるべくシルバーストンを「ゆする」ために、ドニントンを利用したのではないかとさえ言われた。

しかし、その後ますます、シルバーストンは経済的に追い詰められている。バーニーが「直接」手をくだすまでもなく、もしシルバーストンが利用できなくなる事態になれば、イギリスのかわりにF1を開催したい国はある。F1発祥の地であり、その本拠地ともいえる英国は、いつまでその特権的な地位を守ることができるだろう。むしろ彼らはバーニーに守られてきたとも言えるのだろうか……?

(追記)

余談だが、ウェールズで新しいサーキットが建設されていることは知らなかったので、大きな興味をそそられた。軽く調べてみると、今年に入ってから、シルバーストン側から英国のキャメロン首相(!)に対して、サーキット・オブ・ウェールズに国庫から大金を投ずることへの疑問が提出されていたようだ(BBC News - Silverstone boss contacts Cameron over Circuit of Wales)。それに対して、サーキット・オブ・ウェールズ側からは公式なプレスリリースとして反論があった(News | Circuit of Wales)。その後まもなく、BBCはサーキット・オブ・ウェールズに対して大金が投じられることへの批判の高まりを記事にしている(BBC News - Planning inquiry to rule on Circuit of Wales in Ebbw Vale)。

なぜシルバーストンがウェールズを目の敵にするのか(していないかもしれないがそのように見えてしまう)、面白い……。

(C) 記事出典:Bernie Ecclestone Casts Doubt Over Future Of British Grand Prix - Forbes

(CC) 画像出典:On the Turn | Flickr - Photo Sharing!

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