F1ワッチ (F1watch)

Watching the Formula One from an Armchair

予算制限に反対するチームに大義名分はあるのか?

勝つためには莫大な予算を投じる必要があるF1にとって、各チームに予算制限(cost cap)を課すことは悲願である。それは持てるものと持たざるもののあいだで「フェア」な競争を実現するためだけではない。現代のF1はあまりにも高くつくので、もはや巨大な自動車メーカーでさえチームを維持することが難しくなりつつあるからである。

そこで近年、FIAと全チームは、何らかの予算制限を設けることで合意し、話し合いを続けてきたが、しかし、なんと予算制限が一転して取りやめになりそうだと各メディアが伝えている。そこで裏切り者として「指名手配」されているのが、メルセデス代表のトト・ヴォルフである(Wolff defends Merc's cost cap stance | Planet F1)。

Mercedes AMG Petronas F1 W04

FIA会長のジャン・トッドは、F1に予算制限を導入しようと計画していたが、数週間前、それは実現できないことになった。

FIA President Jean Todt had planned to introduce a cost cap into Formula One, however, a few weeks ago announced it would not take place. The Frenchman blamed F1's Strategy Group, which comprises six teams including Mercedes.

トッドは、メルセデスを含む6つのチームで構成されるF1ストラテジーグループを非難した。

Wolff, though, has defended his team's stance.

しかしメルセデスのトト・ヴォルフは、自身のチームの立場を弁護した。

"I was for a cost cap actually," Wolff told ESPN. "But we realised some of the other big teams could not follow that path.

「本当に、私は予算制限には賛成だ」とヴォルフはESPNに語った。「しかし、私たちは、いくつかの巨大なチームが、賛成してくれないことを悟ったのだ」

"It doesn't make sense to go against two or three of the big teams just for the sake of the principal of the cost cap, so it's worth following it up where everybody can do"

「その2、3の巨大チームに対して反対することは、予算制限が目指す目的を達成するためには、意味がないんだ。だから、全チームが共に歩むことができる方法が必要なんだ」

The Austrian reckons the best way to curb rising costs without introducing a cap is through "sporting and technical regulations" which he says are the "right way" to F1 to go.

ヴォルフは、予算制限を課すことよりも、参戦コストの上昇を抑制するベストな方法は「競技規則と技術規則」によるものだと考えている。それこそが「正しい方法」なのだという。

"We are for a cost cap, or a ceiling, so we are not running away in a spending war with the other teams, and for a glide path downwards so we can reduce the gap between the larger and smaller teams."

「私たちは予算制限か、何らかの上限を定めることには賛成だ。私たちは他のチームと共に消耗戦へと飛び込もうとしているのではない。私たちは巨大なチームと小規模なチームのあいだのギャップを小さくするために、徐々に予算を減らしていけるような方法をとるべきなんだ」

訳していて面白かったのは、ヴォルフが「私(I)」と「私たち(We)」を、巧みに、もしくは無意識に、使い分けているところだ。たとえば「〈私〉は賛成」だが「〈私たち〉は賛成しないことにした」など、個人としての彼とチーム代表としての彼のあいだの違いを表現しようとしているように読める。

F1ストラテジーグループは、フェラーリ、マクラーレン、ウィリアムズ、レッドブル、ロータス、そしてメルセデスという6チームで構成されており、その中で予算制限の可否が話し合われていた。本来、最も予算制限を欲しているはずのザウバーやフォースインディア、マルシャといった中堅以下のチームがそこに含まれていないことが、そもそもおかしい。

そのストラテジーグループが、原則的に導入に同意していたはずの予算制限を一転して「否決」したことで、他の小規模チームからだけではなく、FIAからも非難されている。その中で現在、トト・ヴォルフが血祭りにあげられているのは、彼がこれまで予算制限の賛成派だと考えられていたからである。彼の必死の弁護をみていると、確かに彼はフェラーリやマクラーレンのような「ビッグチーム」に「日和った」と見られてもおかしくないかもしれない。

これは個人的な感想だが、どうにも、トト・ヴォルフとニック・フライが重なって見える。もちろんF1にも「ビジネスマン」や「政治家」が必要だが、チームのトップにいるべきかどうかは疑問だ。

本件は引き続き話し合われていく予定だという。

(CC) 画像出典:Mercedes AMG Petronas F1 W04 | Flickr - Photo Sharing!

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